新型温水ラミネーター(自動搬送構付)

インタビュー : 2004年7月

旧産業機器カンパニー
営業本部
岡田 譲

計装工場技術部
産業機器技術グループ
伊神 謙

新型温水ラミネーター(自動搬送構付)について

温水ラミネーターは何をするものですか?

岡田
温水ラミネーターは、主に携帯電話やパソコンに使われる積層電子部品などを均等に圧着成型する装置です。
例えば積層電子部品の一つに積層セラミックコンデンサー(蓄電器)というものがありますが、これは電子回路を描いたセラミックの薄いシートと絶縁シートを何層にも重ね、張り合わせることで、静電容量(蓄電能力)を増加させています。特に近年ではモバイル機器の高機能・高電圧化が進んでおり、500~1,000ものシートを重ね、圧着させているコンデンサーもあります。
このような積層電子部品の圧着には、従来上下方向から圧力を掛ける一軸圧プレス装置が使われていましたが、圧力の加わり方に片寄りが多く、生産効率が悪いという欠点がありました。
弊社の温水ラミネーターは、温水を満たした密閉型の圧力容器内に真空パックした積層電子部品を入れ、ポンプで昇圧し、パスカルの原理で全方向から均等に圧力を掛ける装置ですので、圧力の片寄りが少なく、一軸圧プレス装置に比べ製品の品質と生産効率が格段にアップしています。

なぜ温水なのですか?

伊神
積層電子部品は数十、数百ものセラミックシートを圧着させるため、シート間にバインダー(接着剤)を挟み昇圧します。その際、より接着効果を高めるため、昇圧前にバインダーを予熱し軟化させる必要があります。予熱は、長いもので数十分かかっています。
バインダーは、昇圧後の焼成工程で蒸発してしまいますので、製品に影響はありません。

“新型”と名付けられているのはなぜですか?

岡田
温水ラミネーターは、1983年に弊社が米国オートクレーブエンジニアーズ社と技術提携した熱間当方圧プレスと冷間当方圧プレスの両装置を基にして、今から15年ほど前にお客さまの要望で弊社が開発したものです。その後、積層セラミック部品の多層化や小型化に効率良く対応できる装置として、デファクトスタンダード(業界標準)と呼ばれるほどの販売実績を築いてきました。
今回“新型”と名付けたのは、温水ラミネーターの基礎的な技術や特長を継承させたまま、お客さまの声を反映させた機能を新たに追加して、さらに高機能化を図ったためです。

どのような機能を追加したのですか?

伊神
追加機能を分かりやすくご説明するために、まず従来の温水ラミネーターの構造についてお話させていただきます。温水ラミネーターの心臓部である圧力容器の周囲には温水が張られたリザーバ(温水槽)があり、通常電気ヒーターと循環ポンプによって圧力容器内は60~90℃の温水になるよう加温、循環制御されています。圧力容器には重厚な上蓋と、それを横から貫通し固定するピンがあり、196MPa(2000kg/cm2)までの昇圧に耐えられる構造になっています。積層電子部品は真空パックした後バスケット(鉄製の編みかご)に入れ、上蓋の下に取り付け、上蓋と共に圧力容器内に挿入し、高温・高圧を掛けます(図1を参照)。従来機ではこれらの作業(予熱、昇圧、冷却など)は、圧力容器内一箇所で行っていたため、一つの工程が終わらないと、次の工程へ進めない構造になっていました。しかし近年の積層電子部品の生産増大により、生産ラインの一翼を担う役割も大きくなり、お客さまから「もっと稼働率を高めたい。作業性の向上、安全性を高めたい。」などの要望が多く出されるようになりました。

図1

岡田
そこで、装置を部品の出し入れ口、予熱槽、圧力容器の三つに区切り、バスケットを回転テーブルでリレー式に各区画へ搬送するような仕組みを考えました(図2を参照)。この自動搬送装置を考案したことで、複数の工程が同時に並列して安全に行えるようになり、生産効率が2倍以上にアップしました。

図2

開発について

開発で一番苦労した点は?

岡田
実は自動搬送機構は、2年ほど前から徐々に試作品などを作り研究していたのですが、温水ラミネーターは生産ラインに導入される機械であるため耐久性や安全面(バスケットの転落や、火傷防止など)の課題を解決するのに苦労しました。

伊神
機械的な構成が先に固められた後に自動制御プログラムを検討する順序で対応しなければなりませんでしたので、それらの構成を変更すること無く、短時間で安全に搬送→予熱→圧着→保持→減圧→搬出までの各工程を並行運転、自動運転するためのプログラムの作成と、初期の立ち上げ・調整に苦労しました。

今後について

今後の目標は?

岡田
新型温水ラミネーターは、開発時から欧州に輸出できるようにCEマーキングに対応済みです。ですから国内外を問わず早く多くの販売実績を作って、お客さまに評価していただきたいと考えています。また今後は材料を厳選し、耐久性を維持しながら軽量化と装置価格の低減を進めたいと考えています。

伊神
「LTCC(低温焼成セラミック)などのように、より高精度で長時間の加温をしたい。バーコードなどを使って熟練者でなくても簡単に圧着処理の設定ができるようにしたい。温度や圧力、時間などの設定値をオンライン管理したい。」など、お客さまのニーズは多種多様ですが、それらをもっと細かく掘り起こして、解決しハード・ソフト共により良い製品にしていきたいと思います。

新型温水ラミネーター(自動搬送機構付)の特長

新型温水ラミネーター(自動搬送機構付)

特長

  1. 従来機に比べ生産効率が倍増
    予熱位置と圧着部品セット位置を別々に配置し、並列作業を可能としました。
  2. 作業性の向上
    圧着部品のセット位置を低くし、より投入・搬出がしやすくなりました。
  3. 従来機とほぼ同サイズを実現
    目動搬送機構を、従来機と同等の装置サイズに収めました。

製品仕様

圧力 196MPa
圧力容器サイズ 内径320mm、内長290mm
最高温度 190℃
装置サイズ 3.3m(W)、1.7m(D)、2.65m(H)
装置重量 約7t

まめ知識

パスカルの原理って何?

静水の一部に圧力の変化を与えた場合、水が堆積を変えることなく静止していれば、その圧力変化はそのままの強さですべての部分に一様に伝播する原理。

プレーズ パスカル(Blaise Pascal)1623~1662
フランスの思想化、数学者、物理学者。1950年、流体(液体・気体)の圧力に関する法則「パスカルの原理」を発見。パスカルの流体圧力に関する研究は、浄水力学および気象学の基礎を築くものとなり、その功績を記念して、圧力の国際単位が“パスカル(Pa)”と名付けられた。

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