強靭な体質の日機装を目指して
各種施策を実行してまいります

代表取締役社長 甲斐 敏彦
令和4年3月

株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに日機装の事業概況をご報告いたします。

当期の業績について

2021年12月期の業績は、売上収益は前期比5.8%増の1,677億 円、営業利益は69.4%減の31億円となりました。

インダストリアル事業は、海洋の環境規制強化に伴う世界的なLNG燃料船の需要増加を受けた受注獲得により、過去最高の受注額を達成しましたが、2022年以降の売上収益に寄与する受注が多いことや宮崎インダストリアル工場稼働に伴う減価償却費の増加等が影響し増収減益となりました。

航空宇宙事業は、小型機(単通路機)を中心とした民間航空機 需要が回復し始めてきたことで、製品出荷は徐々に回復しています。収益面では在庫調整等による費用が増加したことで減益となりましたが、業績は2021年を底に回復に転ずると見込んでいます。

メディカル事業は、国内の血液透析装置需要が引き続き活発に推移し、海外市場でも装置需要の回復が見られた一方で、供給面 においては、ベトナム・ホーチミン市の当社血液回路工場が2021年7月以降新型コロナウイルス感染症蔓延による当局の指導により稼働の制限を余儀なくされました。2021年末までに、当工場の稼働率はほぼ正常な水準まで回復できたものの、他社品調達に伴う調達コストや物流費の増加により、営業利益は大きく減少することとなりました。こうした中、透析医療の生命線とも言える血液回路の供給者としての責務を全うしていくため、宮崎に血液回路工場を建設し、国内市場へ高品質な製品を安定供給できる体制を構築することを決定しました。

ヘルスケア事業は、据置型空間除菌消臭装置の国内需要の伸びが一服する中、他社類似製品の市場参入やその価格競争など競争環境の激化に加えて、海外市場進出の遅れもあり、前年を下回る業績となりました。一方、組込型装置は、建設会社や交通機関からの引き合いが増加しました。

これらの事業の動向の他、為替差益の計上により、税引前利益は39億円となりました。また、税務当局からの更正処分による追徴課税17億円を法人所得税費用に計上したことなどにより、親会社の所有者に帰属する当期利益は2億円となりました。なお、本件については不服審査請求を行い、引き続き当社の正当性を主張してまいります。

2022年12月期の見通しについて

インダストリアル事業は、受注済のLNG燃料船関連の着実な生産・出荷を進めるとともに、宮崎のクライオジェニックポンプ試験設備の活用、当社グループ内の協業を更に進めながら、LNG関連ビジネスの拡大を図ります。航空宇宙事業は、民間航空機需要の回復に向け宮崎、ベトナムでの生産体制を再整備するとともに、新規事業での引き合いを確実に受注に繋げ、営業利益の黒字化を目指します。
メディカル事業は、国内の血液透析市場向けの販売が好調に推移しており、海外の大手透析サービスプロバイダーとの提携による米国市場への本格展開を開始することから売上収益は増加する見込みです。

収益性の点では、2021年に発生したベトナムの血液回路工場の稼働制限に伴う緊急対応支出がなくなる一方、資材価格や物流費等の高騰の影響に加え、宮崎インダストリアル工場やベトナム・クワンガイ血液回路工場の稼働に伴う減価償却費負担増加や、東村山に建設中の新メディカル技術センターに係る支出などにより増益幅は減少すると見込んでいます。

また、当社連結子会社のLEWA社及びGeveke社の全株式について、スウェーデンに本拠を置きグローバルに事業展開する産業機器メーカーであるアトラス・コプコ社との間で正式に株式譲渡契約を締結しました。株式譲渡に伴う営業利益への影響として、プラス面では株式譲渡実現による株式譲渡益約320億円の計上、マイナス面ではLEWA社及びGeveke社が当社連結範囲から外れるため5月以降の業績計画から除外されること、株式譲渡に係るアドバイザリー費用など関連諸費用の計上のほか、国内生産拠点の再編に伴う一部不稼働資産の減損を前倒しで行なうことに伴う損失計上などを含め、合計約70億円を織り込んでいます。

それらを踏まえ、2月14日公表の2022年12月期連結業績予想を修正しました。世界的なサプライチェーンの混乱やロシア・ウクライナ情勢など外部環境が目まぐるしく変化する最中ではありますが、主力3事業の市場環境は昨年に比べて相当改善しているとみられることから、今後、収益力の強化を進め、安定的にキャッシュフローを創出する事業基盤を確立してまいります。

2022年12月期の配当予想について

当社は、継続的かつ安定的な利益還元は当社の資本政策の重要な柱であるとの基本認識のもと、業績、経営環境などを総合的に勘案した利益還元を行なっていくことを基本方針としています。
この基本方針に基づき、当期の業績が大きく回復し、各事業の成長に向けた手応えが見えてきたこと、LEWA社及びGeveke社の株式譲渡に伴う売却資金を有利子負債圧縮に充当することで支払利息負担の減少が見込まれること等を踏まえ、前回予想に対して、当期の中間・期末配当を1株当たり、それぞれ2円50銭増配し、年間配当予想を1株当たり25円とします。