電子機器の進化を支える陰の立役者として

携帯電話やスマートフォンをはじめ、パソコン、家電など、現代社会に深く浸透している電子機器の数々。こうした製品の高性能化・小型化のテクノロジーを支えているのが、内部に組み込まれている「コンデンサー」という部品の存在です。言い換えれば、コンデンサーの進歩が電子機器の進歩を促し、この分野で世界の最先端を走る、日本の電子機器メーカー繁栄の礎となりました。
とりわけ小型で熱に強く、高周波の回路でも使える「積層セラミックコンデンサー」の進化は日進月歩と言われています。そして、このコンデンサーの製造プロセスに欠かせない高圧プレス機が「温水ラミネーター」です。日機装は1980年代半ばの製品開発以降、20年以上にわたり、電子機器業界とともに歩んできました。

積層セラミックコンデンサー
積層セラミックコンデンサー
積層セラミックコンデンサー

温水等方圧プレスという画期的な技術で世界標準機へ

日機装の高圧プレス機の歴史は、1959年、米国オートクレーブエンジニアーズ社の販売総代理店となったことから始まります。当時の高圧プレス機は大学や工業技術院などの研究所で利用される特殊な装置でしたが、1980年代中頃の携帯電話の世界的生産増加にともない、積層セラミックコンデンサーの需要が急速に拡大すると、一般産業界からのニーズが一気に高まりました。従来のコンデンサー製造では、一軸方向に加圧する「機械式プレス機」を使用していましたが、圧力が均等にかけることができず、生産効率も低いという課題を抱えていました。
これを克服すべく日機装が開発したのが、密閉した容器の中の温水に圧力をかけ、全方向から均一な圧力・温度で熱圧着することで、高精度・高品質に加工することができる温水等方圧プレス装置です。この画期的な「温水ラミネーター」は、積層セラミックコンデンサー製造に不可欠な装置として広く採用され、瞬く間に世界標準機として定着しました。
現在、日機装の温水ラミネーターは世界各地で約600台が稼働しており、スマートフォンをはじめとする電子機器の高性能化、小型化に貢献しています。

生産型モデル
生産型モデル
一軸方向に加圧する機械プレスに対して、温水ラミネーターは均一な圧力と温度をかける
一軸方向に加圧する機械プレスに対して、温水ラミネーターは均一な圧力と温度をかける