トップメッセージ
代表取締役社長 甲斐 敏彦
令和6年9月
株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに日機装の事業概況をご報告いたします。
当中間期の業績について
中期経営計画「Nikkiso2025 フェーズ2」の2年目となる2024年の世界経済は、ウクライナ情勢不安の長期化、中国の景気回復の遅れや、大幅な円安の進行等で、先行き不透明な状況が続いています。このようななか、当中間期は受注、売上、営業利益ともに大幅な増加となりました。
受注の増加は、エネルギー確保や、脱炭素化に向けたLNG、次世代エネルギー関連の投資が継続しており、インダストリアル事業の受注が拡大していることが主な要因となっています。
売上収益は、円安影響に加え、インダストリアル事業の米国子会社Clean Energy & Industrial Gasグループ(以下CE&IGグループ)を中心にLNG関連向けが大幅に増加し、航空宇宙事業も緩やかながら出荷の回復が続いたことで、大幅な増収となりました。メディカル事業では、中国市場の需要が一時的に減退した影響により減収となりました。
営業利益では、メディカル事業の中国市場向けの減収影響もありつつも、CE&IGグループにおいて、当初想定から生産・出荷が進捗した結果、当下期の引き渡しや売上計上分の前倒しもあり売上が大きく拡大したことで、前年同期から大幅な増加となりました。
また、事業ポートフォリオの見直しに伴う一過性の損失として18億円を計上しております。CRRT事業の譲渡に関連する減損損失を6億円、ヘルスケア製品とUV-LEDパッケージに関する棚卸資産の評価損をあわせて12億円計上しましたが、いずれもリソースを集中させ資本効率を高めるための中計施策の一環となります。
この結果、受注高は1,183億円、売上収益は1,026億円、営業利益は27億円となりました。税引前中間利益は円安影響を受けて為替差益を38億円計上したことで71億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は59億円となりました。
2024年12月期の見通しについて
当期業績予想について、直近の事業動向、為替動向を踏まえ、業績予想を修正しました。営業利益は、当中間期の業績および各事業の直近動向を踏まえ、当中間期に計上した一過性の損失相当分を下方修正しています。税引前利益および当期利益は、今後の為替見通しが不透明であることから、期末日の想定レートを中間期末レートと同一となる前提で算定し、為替差益の増加を見込み、それぞれ上方に修正いたしました。
セグメント別では、工業部門については、受注、売上は前回予想比で増加、営業利益は減少を見込んでいます。インダストリアル事業は、好調な業況を踏まえ、受注、売上収益、営業利益とも増加を見込む一方、航空宇宙事業は、ボーイング社の品質問題の影響で、減収・減益を見込みます。その他、 UV-LED事業の棚卸評価損などで9億円下方に修正し、68億円を見込みます。
医療部門については受注、売上、営業利益ともに下方修正します。血液透析事業は中国市場の販売減少から減収を見込みます。営業利益については、概ね当初計画通りの営業利益を見込む一方、本年度中に譲渡予定のCRRT事業の中国市場の低迷に伴う減収減益、加えてヘルスケア事業の製品評価損計上により、医療部門全体では、12億円下方修正した46億円を見込みます。
その結果、航空宇宙事業やメディカル事業の事業環境の悪化に伴う下振れを、インダストリアル事業等で打ち返し、全体としては、営業利益は事業ポートフォリオの見直しに伴う一過性損失相当分を下方に修正した70億円を見込みます。
当社を取り巻く事業環境は不透明な状況が続いていますが、当期を当社グループの長期的な成長の礎を築く重要な年として、引き続き経営基盤の強化に取り組んでまいります。