事業基盤強化に向けた取り組みを
着実に実行しています

代表取締役社長 甲斐 敏彦
令和3年3月

株主の皆様には、平素より格別のご支援を賜り、厚く御礼申しあげます。
ここに日機装の事業概況をご報告いたします。

当期の業績について

2020年12月期の業績は、航空宇宙事業の苦戦をメディカル事業が下支えする結果となり、売上収益は前期比4.4%減の1,585億円、営業利益は17.9%減の102億円となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、原油・ガス採掘などの上流分野の受注が低調に推移したものの、石油化学市場などの下流分野は、更新需要を取り込み比較的堅調に推移しました。
LEWA社は上流分野向けの大型機器等の受注が落ち込んでいますが、既受注案件の生産・出荷を進めたほか、下流分野やアフターセールスに注力し、コスト削減に努めた結果、増収増益となりました。
Cryogenic Industriesグループは、産業ガスやLNG関連施設における投資判断の延期や見直しもあり市場環境は厳しいものの、受注高は前期並みを確保し、既受注案件の確実な遂行やコスト削減の取り組みに加え、事業ポートフォリオの見直しなども奏功し、減収ながら収益性は改善しています。

航空宇宙事業は、第2四半期以降出荷が大きく減少しました。新規プロジェクト向けの受注など新たな動きはあるものの、当面厳しい状況が続くものと予想されることから、金沢の生産機能を、2021年6月末を目途に宮崎に移転し、1か所に集約するなど、赤字幅を縮小するための努力を継続しています。
今後は、既存技術を活用した周辺製品への取り組みを進めるとともに、将来の需要回復を見据えた研究開発の推進、宮崎・ベトナムにおける生産体制の再構築等事業体質の強化を図っていきます。

メディカル事業は、国内外ともに医療機関の訪問制限が厳しく、営業活動の制約を受けていますが、血液透析事業全体では、消耗品の増販や業務効率化によるコスト削減等が奏功し、増収増益となりました。
国内市場では、医療機関の設備投資抑制による買い替えサイクルの長期化等、装置販売は前期比で減少しましたが、新型装置の評価は高く、他社品からの買い替え需要の取り込みが進んでいます。
また、当社の装置との組み合わせで付加価値を提供できる血液回路等の消耗品の販売が堅調に推移しました。海外市場では、新型コロナ影響からのいち早い回復により中国向け出荷が大きく伸長した一方で、欧州やアジアは透析装置の需要が減少しました。そのほか、深紫外線LED技術を活用したヘルスケア事業が伸長しました。

来期の見通しについて

航空宇宙事業の業績回復の遅れが見込まれることや、宮崎工場の減価償却費負担の増加等もありますが、インダストリアル事業は、石油化学など下流分野やアフターセールスの営業強化に加え、医薬、食品、半導体など新たな分野での受注獲得に努めてまいります。また、中長期的なLNG需要の増加を見据えた多くの開発案件が見込まれることから、宮崎のクライオジェニックポンプ試験設備の活用による受注獲得を目指します。
中長期的には、今後の脱炭素社会への移行による次世代エネルギーとしての水素利用など、あらゆる変化に対応できるよう当社グループ一体となって技術力向上に取り組んでいきます。

メディカル事業は、当社独自の機能を持つ血液透析装置の価値訴求によるさらなる市場浸透とサービス体制の強化を図り、市場シェア拡大を目指します。また、宮崎に建設中の研究研修施設「M.ReT宮崎」を活用し、医療関係者に対し当社製品に関する情報提供と技能習得の機会を一層強化することで信頼関係の強化に努めます。海外市場においては、欧州で高い評価を受けている高機能装置の中国市場向け販売を開始するほか、米国市場への本格展開に向けた基盤整備を進めます。さらに、血液回路の世界的な需要の増大に対応するため、ベトナムに生産工場を建設し、生産能力拡大を進めます。
ヘルスケア事業については、製品供給体制の強化や製品ラインナップの拡充に加えて海外への販路拡大を見据え、今後の主力事業の一環として育成し、感染対策推進企業としての地位を確立していきます。

今後も引き続き取り組むべき施策を着実に実行するとともに、事業ポートフォリオの最適化も含め、事業基盤強化に向けた取り組みを推進することにより収益力向上に努めていきます。