価値創造プロセスとビジネスモデル
日機装にしかできない新たな価値創造や
社会課題の解決に挑戦し続けていきます。
日機装のビジネスモデル
日機装は、「流体制御」の分野で長年培ってきた独自の技術や知見を他分野へ応用し、新たな価値創造や社会課題の解決への貢献を通じて事業領域を拡大しています。コア技術の応用やかけ合わせによる融合によって、新たに社会価値を創出していくのが日機装のレジリエントなビジネスモデルです。
基本戦略と投資の方向性
専門性の高い領域において、顧客のニーズに合った付加価値の高い製品を提供することを基本戦略とし、持ち前の技術力と独創的な発想で新市場を開拓して多様な製品・ソリューションを創造してきました。今後も、インダストリアル・航空宇宙・メディカルの事業基盤を最大限に生かせる成長分野・市場に投資を行うことで、日機装にしかできない新たな価値創造や社会課題の解決に挑戦し続けていきます。

Story1 ポンプの技術を医療分野に活用し、透析事業を展開
事業領域拡大の背景
産業用特殊ポンプを主力製品としていた日機装が医療分野に目を向けたのは、1958年、東京大学医学部の教授から人工心臓の試作を依頼されたことがきっかけでした。医療分野とはまったく無縁だった当時の日機装でしたが、「心臓は特殊ポンプです」という教授の言葉に突き動かされ、1960年、日本初の人工心臓を完成させます。この経験を通じて、特殊ポンプの製造ノウハウが「生命を維持すること」にも役立つと知った日機装は、その9年後となる1969年、血液透析装置の国産化に成功し、医療分野へ本格的に進出しました。

1960年代 日本初の人工腎臓装置
キーテクノロジーの可能性検証、知の研鑽・融合・共創
患者様から血液を取り出し、体外で循環させて余分な老廃物を取り除く血液透析治療において、血液を循環させるポンプは重要な部品の一つです。特殊ポンプ製造で培った流体制御技術や計測技術といったキーテクノロジーを再検証し、持ち前の技術と組み合わせることで、血液透析装置を生み出し、透析関連事業を展開してきました。
Story2 医療分野で培った知見と工業分野の技術を融合し、創薬研究用ヒト腎細胞を開発
事業領域拡大の背景
日機装は透析装置のパイオニアとして、透析装置の改良を重ね、日本の透析医療の発展に貢献してきました。また、腎疾患に苦しむ患者さまの生活の質(QOL)向上を目指して、透析療法のみならず、バイオ人工腎臓や再生医療といった、腎臓病治療に関する新しい研究にも積極的に取り組んできました。
こうした中、日機装は、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社および金沢大学との共同研究において、創薬研究用ヒト腎細胞「3D-RPTEC」の開発に成功しました。「3D-RPTEC」は、創薬研究において、動物ではなく、ヒト由来の腎細胞で評価を行うため、種差の問題が解消されることに加え、多くの化合物についてのデータをよりスピーディに、研究の初期段階から取得できるので、創薬の時間短縮やコスト削減も期待できます。また、これまで行われてきた動物実験の代替手段としても使用できるツールです。
日機装は、2023年から腎臓評価を予測するツールとして販売を開始し、今後事業拡大を目指しています。

左:3D-RPTEC(細胞)
右:3D-RPTEC専用培地
キーテクノロジーの可能性検証、知の研鑽·融合·共創
創薬研究におけるニーズを満たすヒト腎細胞はこれまで存在しませんでした。日機装はこれまで培ってきた腎臓に対する知見と細胞培養技術をもとに、外部研究機関や製薬企業との共同研究によって腎臓の機能を再現した世界で初めてのヒト腎細胞「3D-RPTEC」の開発に至りました。さらに、精密機器事業のロボット·AI技術を活用し、細胞培養ならびに実験の機械化·自動化の開発にも取り組んでいます。