火力・原子力発電所向け水質調整システムの開発

日機装の基幹技術を駆使した水質調整システムは、国内外の発電所に多数採用され、発電所の安全管理の一翼を担っている。近年、国内の火力・原子力発電所の運転には、信頼性向上がより一層求められており、それに呼応して、弊社の水質調整システムが管理・監視する缶水(ボイラ水)にも、より細かな管理項目と、より高い分析精度が求められるようになった。今や火力・原子力発電設備には必要不可欠な装置として発展している。

初期の試料採取装置

創業時の日機装は、定量ポンプを製造する米国ミルトン・ロイ社の総代理店として、そのポンプの用途を模索していた。終戦後間もない当時、国内の電力会社は、電力需要の増大に併せて次々と発電所の建設を行なっており、発電効率の高い火力発電所がその主流となりつつあった。また、ボイラの高温、高圧化が進んでいることから、弊社は、高圧定量注入を得意とするミルトン・ロイポンプを使い、火力発電所の缶水の水質を適正に調整する缶水処理装置を製造・販売する構想を立てた。弊社創業者の故音桂二郎名誉会長は日機装創設以前に水処理業務に携わっていた経験を生かし、積極的に海外の技術情報や缶水処理の重要性を電力各社に紹介し理解を求めた。
火力発電所の仕組みは、ボイラ水を加熱し水蒸気を発生させて、タービンを回し発電している。この際、ボイラ水の水質を適正に調整しないと、スケール*が付着して熱効率を低下させたり、ボイラ内壁を腐食させ、水管の墳破につながる危険性がある。そのため、ボイラ内部の水は不純物が少なく、しかも防食に効果がある水質に保つことが必須条件となる。
日機装は薬液注入用のポンプであるミルトン・ロイポンプと並んで、1954年、缶水処理装置の内部状況を把握するための「pHメーター」や「溶存酸素計」の海外メーカーと総代理店契約を結び、缶水の状況を連続監視して、必要な薬液を適量注入する缶水処理装置を開発・完成させた。その後、缶水処理装置とサンプリングシステムなどをまとめ、現在の水質調整システムの原型となるものを開発。世界で初めて開発された水質調整システムは、火力・原子力発電所の大半に納入されるまで発展した。
1986年にはこの功績が認められ、故音桂二郎名誉会長が「火力発電所用自動水質調整装置の開発育成」で科学技術庁長官賞を受賞した。

*スケールとは…金属が溶けて、水垢のように沈殿、付着したもの

Nikkiso Tomorrow

水処理技術の向上に併せて、水処理方式、水質基準も変わり、新しい水質調整方法が考えられている。日機装では、これまで酸素は含まないよう調整していたボイラ系統水の中に、適量の酸素を注入することで配管内の腐食を防止する装置や、最近PWRの二次系で注目されている高pH処理に対応した分析装置などの時流にあわせた製品を開発。その基礎技術や知識が電力会社やプラントメーカー各社に認められ、共同で研究を重ねると共に原子力学会や水質に関するJISの改定作業にも協力している。日機装はこれからも水処理装置の老舗として、その経験と技術を生かした製品造りを進める。

(2004年4月)

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