可搬式イオン分析装置

インタビュー : 2003年10月

旧計装・電力カンパニー
営業本部計画部
江口雅明

旧計装・電力カンパニー
計装工場技術部
長田文夫

可搬式イオン分析装置について

この装置は何をするものですか?

江口
イオン分析装置は、液体中のイオン化された複数の成分(PH値、導電率を構成するイオン種)を一度の分析で、瞬時に測定する装置です。
今ではピコ(一兆分の一)グラムといったごく微量の成分までも測定できるほど研究が進んだ画期的な分析法です。弊社では現在、主に原子力発電所内の水質を分析するためにこの分析法を応用しています。
弊社のイオン分析装置には新設の発電所をターゲットにした固定式と、既設発電所の狭いスペースにも設置できるように装置をユニット化した可搬式があります。

開発について

開発のきっかけは?

長田
十数年前になりますが、ある事故がきっかけになり、原子力発電所内の健全性確認方法として、炉水内の微量なイオン濃度を連続監視することが注目され、発電所関係者が、当時弊社が研究していたオンラインイオンクロマトの技術に白羽の矢を立てました。

その後はどうなったのですか?

長田
それから3年間位で、国内のBWR(沸騰水)型発電所のほとんどに弊社のオンラインイオン分析装置を納入することができました。そして次の目標を、開発時に一歩出遅れていたPWR(加圧水)型発電所に定め、何とかして競合他社に追いつき、追い越そうと考えました。開発結果として、競合他社より1ケタ微量の分析が可能となり、発電所の水質で今まで、不明であった微量イオンの動きがわかるようになりました。そのため、9割がた競合他社に決まっていた大きな仕事を大逆転で弊社が得ることができ、その後3年ほどで大方のPWR型発電所に弊社イオン分析装置を納入することができました。

何故チャンスに強いのでしょうか?

江口
当カンパニーはお客さまの要望を聞き、すぐに装置に反映させる顧客密着型の開発スタイルをとっています。常にアンテナを張って、お客さまに出向いて情報を集め、いつでもお客さまの要望に応えられるように一歩先の製品を開発・準備をしておきます。だからこそ、チャンスを逃さずに捕まえられるのだと思います。

先頃、可搬式イオン分析装置をモデルチェンジしましたが目的は?

長田
はい、まずは製品競争力を高めるため原価低減を行いました。そのために従来購入品に頼っていたポンプユニットと導電率計を新規に開発し内作化しました。内作化に合わせた構造の見直しと部品点数の減少を図る省スペース化で、製品性能はそのままに、既設発電所の狭いスペースにもさらに対応しやすくしました

今後について

今後の目標は?

長田
最近は、PWR型発電所の高PH運転等に見るように、お客さまのニーズが多様化し、益々、水質監視の高度化が求められております。弊社では、これらニーズに対応すべく、前処理装置、廃液処理装置を含め、トータルシステムとして開発・検証を重ね、イオン分析装置の完成度を高めたいと常に研究を進めています。

江口
今、イオン分析装置には固定式と可搬式がありますが、今後は各々の客先ニーズを捉えた製品もこれに加えて、積極的な拡販と部品や消耗品を含めたトータル販売を行いたいと考えています。また、原子力、火力などを問わず、発電所以外のプラントにもオンラインイオン分析装置を拡販し、水質のトータルブランド“日機装”を確立して行きたい。そして「日機装に任せておけば水の分析はオールマイティーに分かる時代になった」とお客さまに認知していただけるようにすることで、弊社の水処理メーカーとしての位置づけを、さらに向上させていきたいと考えています。

可搬式イオン分析装置

特長

  1. 各種微量イオン濃度分析が可能
  2. 分割モジュールタイプで持ち運びが容易
  3. 任意の測定ポイントで仮設設値が可能
  4. 高精度な無脈流ダブルプランジャーポンプを搭動し、安定した送液を実現
  5. 専用コンピュー夕をLAN接続し、波形、帳票、ヒストリカルトレンドグラフを端末に表示

構成(一例)

  1. 高精度ポンプユニット
  2. 恒温槽付カラムユニット
  3. コントロールユニット
  4. 溶離液タンクユニット
  5. データ処理装置

まめ知識

イオンクロマトグラフィーって何?

1975年、H.Smallらによって発表された、イオンを電気伝導率によって分析する方法。この分析法は、古典的な原理を新たな発想のもの巧みに組み合わせたもので、サプレッサと呼ばれる装置をイオン交換分離と電気伝導率検出器のインターフェイスとしたことが成功へとつながった。この分析方法は世界的な広がりを見せ、イオン交換樹脂などの進歩にも大いに貢献したが、現在ではサプレッサを使わず電気伝導率が検出できるイオン交換クロマトグラフィーが可能になり、イオンクロマトグラフィーの定義があいまいなものになっている。

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